2006年2月 2日 (木)

グラスホッパー

グラスホッパー グラスホッパー伊坂 幸太郎 Amazonで詳しく見る by G-Tools

評価:★★★☆☆

初めてこの人の小説を読んだ。
前から気になっていたのだけど、たまたま読む機会がなかった。

全体的に暗い話ではあるのだろうけど、この人の作品性がそうなのか、不思議と暗い印象は受けなかった。
文体やセリフ、登場人物の人柄がそうさせるのかもしれない。妙にサバサバとしていて、潔い感じ。小説自体が「軽い」というか。いや、悪い意味ではなくて。

セリフや全体の文章は結構独特なものがあり、俺は好きだ。
だけど登場人物のセリフが、男も女もあんまり変わらないんだな。
覚えている限り、4人の女性が登場するのだけど、その内3人は同じようなしゃべり方で、性格の差みたいなものがない。
あと、この作者の心理描写や情景描写の比喩が、芝居がかっているというか、ちょっとだけ鼻に付いてしまい、好きではなかった。

内容的には嫌いじゃない。
ただ、3人の視点で物語が進むのだけど、どの人に感情移入していいやら、結局どのキャラにも大した感情移入は出来なかった。

ラストは俺の予想を裏切るものであり、それが良いのか悪いのかは別にして、「こうなれば良いな」と言うものではなかったので、ちょっと残念だった。

何にしても、「他の作品も読みたい」と思わせてくれる作者でした。

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パッチ・アダムス

パッチ・アダムス パッチ・アダムス
ロビン・ウィリアムズ モニカ・ポッター フィリップ・シーモア・ホフマン


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評価:★★★★★

基本が悲観的である俺にとって、この映画に出てくるパッチ・アダムスという異様に前向きな男は衝撃的であり憧れでもある。
心が挫けてしまいそうな時、或いは挫けた時、その度に俺はこの映画を観た。
即ちこの映画は、俺の挫け人生と共に歩んできた「戦友(友)」とも言えるのではないか。

「ロビンが演じる事がメガホンを取る第一条件」と、監督のトムが言っていたように、この映画はロビンが演じる事に意味がある。
と言うよりは他の俳優ではまず無理だろう。設定に負けてキャラクタが浮いてしまいそうだ。

この映画は、観る側にもそれなりの寛大な心が必要だ。
抜群にウソくさい演出に、ロビン・ウィリアムズのあの演技が加わってしまう訳だから、向かうところ敵なしだ。
従って“ありがち”の一言で内容を切り捨ててしまうような人にとっては、この映画は全く意味をなさない至高の駄作となるだろう。
だが逆に、素直にこの映画を受け入れられる人とはいい友達になれそうだ。

*マーク・シャイマンの音楽がまた良い。結婚式でも使用した程だ。

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2006年1月17日 (火)

デセプション・ポイント(下)

デセプション・ポイント 下 デセプション・ポイント 下
ダン・ブラウン 越前 敏弥


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評価:★★★

後半を読み進めるにしたがい、疑念は確信へと変化した。どうやらストーリーの行き先が確定した模様なのだ。やはり残念な方向に。
そして本作の場合、ストーリー展開が確定した時点で、おのずと犯人が絞られてくる。そのような設定になってしまっている。

何故なら、AとB、対極に位置する2人の主要人物の為だ。
Aはストーリーの初めから「悪」であり、最後で「善」に変わる事はちょっと考えにくい。
とすると、必然的にBが「善」となる。そうならないとストーリーに収拾がつくとは思えないからだ。
そうなると、犯人はCかDに絞られる事になるが、それもストーリーの途中でDだと予想する事が出来る描写がある。
そしてその通りの結末になってしまった。

上巻と下巻では、上巻の方が面白い。初めにものすごく惹きつけられたし、途中で悪い方に裏切られたとは言え、読む手を止められない勢いがあった。
しかし下巻ではおおよその事が予想通りとなってしまい、あまり驚きはなかった。

急激な角度で上昇した面白さが、ほぼ同じ角度で下降したような印象の本作だったが、十分に楽しめたので、人には勧める事が出来そうだ。

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デセプション・ポイント(上)

デセプション・ポイント 上 デセプション・ポイント 上
ダン・ブラウン 越前 敏弥


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評価:★★★★

「NASAが北極の棚氷に埋まっていた隕石から、地球外生命体の痕跡を発見した」

素晴らしい殺し文句で始まったのが、本作の上巻だ。

ポイントは「NASA」それと「地球外生命体」だ。この2つのワードが出てきてしまった以上、面白くないはずが無い。
俺にとってこの2つは、小説に限らず、映画でもマンガでも、その面白さを保証する太鼓判的な意味を持つ。
そしてその期待通り、読み進めるにつれ、面白さが右肩上がりに増していった。
このままの勢いが続けば、本作に対して最高評価を下さなければならないな、そんな事を思いながら、寸暇を惜しんで読み耽ったものだ。

しかし事態は上巻の後半から、思いもよらない展開になった。
と言っても、俺にとっては全く「まさか」ではない。容易に予想できる2つの展開の内の1つに進んだだけだ。(正確に言えば、上巻の時点では「進みそうな」だが)

俺が予想した2つの展開とは、地球外生命体の発見が「本当」だった場合と「捏造」だった場合だ。
両者は全く性質の違うものであり、どちらに進むかによって、その後の展開は大きく異なるだろう。
そして非常に残念な事に、本作は俺が望んでいた方ではない、逆の展開に話が進んでしまったのだ。

その事を薄々分かってくるのが、上巻の後半だ。
従って、この辺から面白さにブレーキが掛かり始め、不安を残したまま、下巻へと突入する事と相成った。

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